こんにちは!いせ弥です。
昨日は日本でただ一人の大型木桶職人、ウッドワークの上芝さんにお越しいただき、当店の木桶を修理のため搬出いただきました。
当店で長年お味噌製造に使っていた木桶ですが、大きすぎてお味噌の出し入れが困難で使わなくなっていたものを引きとりたいという方がいたのでお譲りするものです。今後は、ショールームでの展示用に使われるとのこと。
上芝さんご自身もご高齢のため来年で大型木桶の制作は引退されるということで、平成の時代の終わりとともに木桶製造の歴史も閉じてしまうことになります。
上芝さんは日本でただ一人の大型木桶職人ですが、今や中国・韓国でも木桶を作っているところはありませんので、まさに世界で一人だけの職人さん。そのため中国・韓国から木桶の制作依頼や取材依頼が来るそうですが、全て断ってるとのことです。
その理由は、海外で醤油を作っている業者が「木桶仕込み」と表記したいために木桶を作ってほしいと言っているように感じるからだとのこと。そもそも「木桶仕込み」というのは醤油醸造の味を究めるなかで 材料、技法、調合、道具を懸命に吟味した結果、やはり木桶自身に住みつく麹菌や酵素が良いと考える蔵元がたどり着いた一つの結論。
それを理解せずに漠然と木桶に入れたらウケがいい、といった短絡的な考えのために桶は作りたくないとのことでした。
世界唯一の木桶職人、文字通り 職人気質(しょくにんかたぎ)の一面を垣間見ました。
長年大事にしてきた木桶。次のオーナーのところで立派に飾ってもらい、職人の技の姿を後世に伝えてもらえたらと思います。