奈良漬のもとの使い方

「奈良漬のもと」はいせ弥が奈良漬用に甘く味付けした酒粕。奈良漬風味の粕漬けをご自宅で手軽に作れます。漬け終わった酒粕は捨てないで次の下漬に使いましょう。

作り方

  1. キュウリを塩漬け(キュウリLサイズ20本(約2.6kg)に塩500g、軽く重石をして1~2か月)にします。
  2. 奈良漬のもと1袋(2kg)に漬け込みます。
  3. ときどき漬かり具合をみます。キュウリの真ん中あたりを切って味見します。
  4. 1~2か月で出来上がりです。

漬け方のコツ

上記はあくまでもご自宅でかんたんに作るレベルの漬け方で、いせ弥の奈良漬の作り方とは違います。しかし、以下のポイントを抑えることで美味しい粕漬けに仕上げることできます。

1.(塩漬け)重石はあまり重くないものを
重石が重すぎるとキュウリがペタンコにつぶれて食感を損ないます。水分を出すのは圧力でなく「塩」の力。半日も塩漬けすればザブザブに水分が染み出てきますので、キュウリがその中に沈められている程度でOKです。
2.(塩漬け)塩抜きはかなり塩辛めでとめる
塩辛いからとザブザブ水洗いするのはNG。せっかく水分を引き出したキュウリにまた水分が入ってしまいます。塩は酒粕(奈良漬のもと)に吸わせていくのがポイント。上記レシピのレベルなら塩抜きは要らないぐらいです。
3.(塩漬け)本漬け前に陰干し
酒粕は水分とあうことで傷みやすくなり酸敗します(酸っぱくなる)。それを避けるためキュウリを塩で漬けてその水分を染み出させるのです。本漬け前には半日程度陰干ししてできるだけ水分、塩分を落としておきましょう。
4.(本漬け)ときどき味見をする
キュウリの大きさ、形、熟れ具合、漬けている環境により奈良漬の仕上がりは変わります。上記レシピはあくまでガイドライン。ときどき味見をして頃合いを見ながら食べましょう。
5.(本漬け)粕を変えて漬け替える
奈良漬は酒粕(奈良漬のもと)を変えて漬け替えると味が格段に良くなります。上記レシピでできあがった奈良漬をもう一度粕を変えて漬け替えてみてはいかがでしょうか。
6.(本漬け)酸味が強くなってきたら
そもそも乳酸発酵するので若干酸味は出ますが、それが強くなってきたら酒粕が酸敗してきています。その後は風味が悪くなる一方なので、早めに召し上がっていただくことをお勧めします。

使いまわしについて

酒粕(奈良漬のもと)を変えて漬け替える、と聞くと2倍・3倍の酒粕をお求めになるお客様もいらっしゃるのですが、それはNG。もったいないです。酒粕にはキュウリに味をつける以外に塩漬けのキュウリから塩分を吸い取る役割があります。一度や二度使ったぐらいでは酒粕にもまだ力がありますので、漬け終わった酒粕は捨てないで、香りがなくなるまで次の下漬に使いましょう。我々プロも酒粕を使いまわしています。

キュウリは塩漬けのままなら長持ちしますし、どうせ少しずつしか食べませんから、1/3ずつくらいの量に分けて本漬けすることをお勧めします。

よくある質問

Q1.ネットや本で書いてあるレシピと違います。
A1.奈良漬は奈良県では郷土料理。それぞれの家庭で作り方は違います。他で書いてあるレシピについてのご質問は、それを書いた方にお尋ねください。
Q2.出来上がりが塩辛いです。
A2.本漬けをされて2か月間以上経過されていますか。新しい酒粕を十分に使っていますか。それでも塩辛いのであれば新しい酒粕で2か月以上漬けなおしてみてください。
Q3.塩漬けのキュウリにカビが生えてきました。
A3.塩漬けしたキュウリから出た水は捨てずに、その水の中にキュウリを沈めておいてください。濃い塩水の中ではカビは生えません。
Q4.いせ弥の奈良漬のようには漬かりません。
A4.いせ弥の奈良漬は2年以上にわたり専用の設備と技術で4回もの漬け替え工程を経て奈良漬を漬けています。しかし一般の方は夏にご自宅で一気に採れたキュウリを半年程度の期間で食べたい、というのがほとんどです。そのため、ここで紹介しているのは簡便な作り方となっております。
Q5.残った酒粕はどう保存したらよいですか。
A5.
①一度使ったもの
 水分が混ざっているため傷みやすいので、シーズン中に使い切ってください。
②開封しただけで未使用のもの
 奈良漬用として使い切るか、肉や魚を一晩漬けるとかして消費してください。
③未開封の酒粕(奈良漬のもと)
 未開封のものは常温で腐りませんので来シーズンでも使えます。
Q6.キュウリ以外の野菜も漬けられますか
A6.ぜひいろんな野菜の奈良漬をお試しください。肉や魚などは塩漬けにせず「粕漬け」として簡単に漬けてもおいしく仕上がりますよ。